詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
りに吉田くんの家に寄って宿題をする約束をした
吉田くんちには
このあいだ新しい男の子がきて
吉田くんが面倒を見てたんだけど
きょうは吉田くんのお母さんが
親戚の叔母さんのところに
その子を連れて行ってるので
ぼくといっしょに宿題ができるってことだった
吉田くんちに行くときに
通り道に卵があって
ぼくたちは横向きになって
道をふさいでる卵と
建物の隙間に
身体を潜り込ませるようにして
通らなければならなかった
そのとき
吉田くんが
ぼくにチュってしたから
ぼくはとても恥ずかしかった
それ以上にとてもうれしかったのだけれど

[次のページ]
戻る   Point(14)