まずは釘で傷をつけてから/ただのみきや
ヨナクニサン
大地の振り上げた鞭が三日月に絡んだ朝
重さを失くした新雪をふるい分けて這い出した
ヨナクニサンの群れ
マイナス8℃の空気をふるわせて厚い翅はゆらめく
縄文の焔 畏怖と言う美しい授かりもの 匂い
そこかしこ蒼い陰をくぐり抜け侵食するものたちよ
縫い付けよう戯れの激しくもあえかな糸で
死者の便りのように耳朶を食むことば殺して
遊びのために
とぎれとぎれ
思い起こす事は出来る
堆積した事実というぼた山のふもとで
人は育つものだ
世界に内包されている
天然の美を見つけ出すこと
それを模倣することでは飽き足らず
そのマッ
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