都度流失するものたち/ただのみきや
 

イメージの蕾の中にわたしはいた
わたしはわたしの真実をゆっくりと展開させていった
孔雀の眼差しを持つ蝶があなたの目蓋から飛び去った
わたしはなおもあなたのイメージの中にいたことだろう
あなたがあなたに施した魔術が冬の空気に薄められてゆく朝




朝の光が溢れかえり 
瞳はふたつの金の鈴
孕む音色を秘めたまま
燃える世界に溺れてゆく

車でどこまで走っても
息がわたしに付きまとう
わたしを鞴のように犯して
息はわたしを従属させる

風と鳥とに射貫かれて
悲哀の絃を震わせる
あばらを広げた鉄塔よ
蜃気楼の鏡にただ茫然と


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