虹を待つ少女/st
 
そうだね
話せば楽になるかも知れないよ


紳士が少女を諭すと
少女は語り始めた

好きだった男の子と
この公園で遊んでいたら

突然にわか雨が降って来て
ずぶぬれになってしまったの

晴れたあとで
あの山のあたりに

きれいな虹がでていたから
二人で秘密の約束をしたけど

それからしばらくあとに
彼は病気で亡くなってしまったの

悲しくて悲しくて
思い出のこの場所に来て

虹がでるのを待っているの

だって
彼が虹の道を通って
逢いに来てくれるかもしれないから

すると紳士は笑いながら

なんだ
そんなこと簡単さ
丁度今日は
[次のページ]
戻る   Point(5)