虹を待つ少女/st
そうだね
話せば楽になるかも知れないよ
と
紳士が少女を諭すと
少女は語り始めた
好きだった男の子と
この公園で遊んでいたら
突然にわか雨が降って来て
ずぶぬれになってしまったの
晴れたあとで
あの山のあたりに
きれいな虹がでていたから
二人で秘密の約束をしたけど
それからしばらくあとに
彼は病気で亡くなってしまったの
悲しくて悲しくて
思い出のこの場所に来て
虹がでるのを待っているの
だって
彼が虹の道を通って
逢いに来てくれるかもしれないから
すると紳士は笑いながら
なんだ
そんなこと簡単さ
丁度今日は
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