風穴の夜/ホロウ・シカエルボク
 
化製品だ、規則的なビートに哲学なんか絶対に乗らない、そんなものに操られるやつらは関節ごとに糸がついてる、顔の無い巨大な意志がそれを操作している、幸せの在り方は自由だ、意志とは選択によって結果を求めるということだ、水で喉を潤す、乾いた体内を水道管の体温が駆け抜けていく、そんな時には樹になったような幻覚が脳内を駆け巡る、そして例によって、すぐに忘れて行ってしまう、地面を這いつくばるのは程よい幸せなのかもしれない、空の高さを探る必要など無いからだ、でも俺には耐えられない、少なくとも、有限の命をもって生きるべき道ではない、だけど知ってるかい、地獄の亡者たちはみんな、上に登って行こうとするやつらの脚を引っ張
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