ひなびた温泉宿で芸者の幽霊と興じる真夜中の野球拳あとひと息あとちょっとで/ただのみきや
破産者の口笛
あなたのうなじの足跡
夢からずっとついて来て
真昼に座礁した
摩耗してゆく面差しの焔
古びた空想科学
瞑る金属片の美しさ
叶わないで狂うわたし
鏡の海に爛熟の魔を隠して
破顔――青く迸る秘め事の
呼び戻す術もない燃え滓に
しこたまの酒
月下の蘭を咀嚼するカタツムリ
たましいの脱皮
極々稀な 凡(およ)そ
生きて出会えそうもない一行に
残りの全てを上賭けして
とあるキリスト像
愛は天恵
窪みにたまった雨水
やがて乾くもの
悲しみは泉
滾々(こんこん)と湧いて
涸れることを知
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