だから、まるで魚が水面を跳ねるように/ホロウ・シカエルボク
 
のかもしれない、だけどそれもなにか少し違う気がする、目の前に餌がぶら下げられたから食らいついたということではない、ほんの少し瞬きのタイミングが違えばそれは見つけられなかったかもしれない、なにしろ、それがいったいなんなのか、途方もない時間が過ぎたいまですら理解出来てはいないのだ、ともかくあのとき、なにかにたまたまフォーカスが合い、そいつはまるで霊魂が他の肉体に憑依するみたいにするすると体内に潜り込んできたのだ、どんな理由もなく、一点をじっと見つめているようなことが多々あった、まだ幼いころからずっとだ、いまだってきっとそうだろう、自分ではあまり気付くことはない、人に言われてああまたやっていたのかと思う
[次のページ]
戻る   Point(1)