指さす先になにもない/ただのみきや
 
たしもまた死産の太陽を吐き戻す
ひとりの売春婦にすぎない
記憶に響くパイルドライバー
国家という茶番劇を鑑賞しながら
そこに蠢くモブとして己を見つめる時間
絵画展よ 肩ひもを外せ
仰け反った季節の淫らな感傷に
そのピアノ的氾濫
裸体の寸劇に
咬まれて破顔する金魚鉢よ
けだるい種子たちの囁きに走り回る
霊媒師の尻の語感に
この放蕩に名をつけろ
あなたの不機嫌な口もとの(,)
ひとつの朝を捲り続けるもの



                   《2021年10月23日》






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