指さす先になにもない/ただのみきや
休日は地獄耳
落下する電車の静けさ
天井からぶら下がっている
こめかみの光 カミキリの声
傾斜し続ける 声の影
ぶどう酒色に濁った季節
腕をひねり上げる
自由――自己への暴力
あなたの少しもじっとしない輪郭
言葉にする前に舌を焼いた
蝋で固めた太陽がレモンに変わる
思い込み――ロマンチックな包み紙
まさぐる手から偶然が逃げ出した
夜ベッドは難破する
わたしはとは混沌であり
形も定まらないひとつの惑星そして
いつの頃からかそこに住み着いた
微細な理性―
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