なんじゃらほい/ただのみきや
 
胡桃の中身

感覚と本能の間
奇妙な衣装で寸劇を繰り返す二人
台詞を当てるのは
土台無理なのだ
虎はいつだって喰いたい
馬はいつだって逃げたい
やがて波打ち際
血まみれの馬は海へと還る
虎は狂おしい唸りを上げて
砂を引っ掻くのだが
幽霊のように足跡ものこさない
曇った鏡を指で拭う
生クリームと苺で飾った顔
気付かぬ訳もないのだけれど
針が止まっても
時計は坂を転がり続ける
失くしたものは
ちゃんとそこにあって
刺激を待っている
古い虫食いの穴に
今も闇だけが潜んでいる





あきらめという秘蹟

秋に彩られた手稲山のふもと
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