悪い飲みかたの話/ホロウ・シカエルボク
自信がなくなっていった、部屋には僅かな血痕があるだけだった、俺は狼狽した警官たちを見た、「どうかね」わからない、と俺は答えた、やれやれ、と警官たちは首を横に振った、「とにかく早くベッドに入るんだな、一晩眠れば気分も良くなるさ」そう言って彼らはパトカーに乗って帰って行った、俺はしばらく部屋の中に立っていたが、突然無性に悲しくなり、キッチンの引出に入れてあるオートマチックを取りに走った、でも引出の中にはなにも入っていなかった、「畜生」俺はそう呟いた、警官たちが俺に黙って持って行ったに違いない、眠れるわけがなかった、俺はキッチンの蛇口を捻り、冷たい水を浴びながら一晩中泣き続けた、そのせいで風邪を引いて酷い熱が出たけれど、酔っぱらって変な夢を見るよりはよっぽどマシなことだった、傷はそのあと医者に見せることはなかったけれど、包帯が汚くなるころには勝手に治っていた。
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