核/ホロウ・シカエルボク
現れる時まで、この世は悲鳴で出来ている、俺が有限な限り、君が有限な限り、果てしなく続く古いブロック塀に書き殴られたスプレーの散文、苛立ちと、破壊願望と、お手軽な自由、そのすべてが中途半端なままだらだらと綴られている、歩道と側溝の間に伸びている雑草を踏みにじる、踏まれても伸びることが彼らのステイタスらしいよ、ボトルに入ったタブレットサイズのガムの奇妙なほどに清潔な味、人が道を歩くときに、そこに残していくのは決して足跡などではない、それは瞬間の生、瞬間の感情、言葉にする暇もないくらいの、瞬き程度の感情、心臓麻痺の老人は今際の際に無意味な羅列を残す、悔恨、悔恨、悔恨だらけの混沌、目を見開いてみたところで
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