十六歳の呟き/板谷みきょう
ってくる
夕日 影が背伸びしている
かくいどりは日和見主義者で
仲間外れだから
夜 飛ぶのです
小指に結んだ赤い糸
たどってみたくて 強く引っ張った
すると糸はプツリと切れた
中途で切れた蜘蛛の糸を仰いでは
いつ又降りて来るかと期待して
今度は雲の上に着いてから
下から追いて来た亡者共を
蹴落とすんだと考える
嘘をつくともとの木の人形に変わってしまう
悲しくて泣きたくなっても涙も出ない
ただ笑うだけ
本当はピノキオなのです
すがってみたって知らん顔
前に一度「狼が来た。」 って
言っただけなのに
雪が雨
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