十六歳の呟き/板谷みきょう
 
からっぽの心を手土産に家へ向かって歩く
雪がふわぁっていっぱい降って
皆と一緒に居たかった
ふと降っていたのが
ちぎれた雲なのに気がついた


日の当たる場所に座って
帽子を深く被って日なたぼっこ
目をつぶると
昨日が顔を出し優しく微笑む
そんなに昔だとは思ってないのに
いつの間にか遠い昔になっていた


太陽との戦いにそなえて軒下の氷の剣は
日毎 鋭くなっていく
そして太陽との争いが始まると
いつも決まって太陽が勝ち
氷の剣は涙を流しながら地面に落ち
粉々に砕けてしまう


僕は知ったかぶり
卑しい自分の心の命令を聞いていると
いつも気が滅入って
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