ネジ/草野大悟2
 
を吹くゼピュロスの風に包まれて眠ることを好む。その眠りが永遠に続くのか、とおもわせるほどに……。
 ほほ笑みという光をうかべた「君」が眠る場所を提供できることが、俺はとても嬉しい。むしろそれだけのために在り続けてきた、といってよい。

 無防備にひらかれる「君」のフローラがしっとりと濡れて、固く閉じられたすべての器官がかすかなため息を漏らす時、俺の奥底のもっと深いところから愛おしさが湧き出てくる。
 「君」は風にのって、プラチナ色の光を放ちながら紺碧にかわった天を遡るのだ。
 その様を、俺は幾度となくぼんやりと眺めたことがあって、そういった記憶とでもいうべきものが重層的に降り積もる場所に
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