いつか声をあげるときに/ホロウ・シカエルボク
 
訪れて初めて、都会というものを知るみたいに、極から極へと、一瞬で飛び去ることは得策ではありません、そこに至るまでのすべての道の上にも受け取るべき現象はたくさんあるのです、必要な事柄をいくつか飲み込んだとき、血のぬくもりが初めて体内を駆け巡っているかのように感じるはずです、わたしは泉から手を放し、そのまますべての現象から離れてしまったみたいに感じます、体感している温度の変化によるものかもしれません、あるいはもっと精神的な要因があるのかもしれません、でもそれについて知ることはわたしの目的ではありません、わたしたちは寄り道を止めてまた歩き始めます、相変わらず、朝も昼も夜もない、四季もない、時間もない世界
[次のページ]
戻る   Point(2)