詩の日めくり 二〇一七年六月一日─三十一日/田中宏輔
 

もうじき、50歳にぼくはなるのだけれど
この齢でジェイムズの本に出合ってよかったと思う。
ジェイムズの描写力を味わえるのは
ある年齢を超えないと無理なような気がするのだ。
偶然。
さまざまな偶然が、ぼくを魅了してきた。
これからも、さまざまな偶然が、ぼくを魅了するだろう。
偶然。
さまざまな偶然が、ぼくをつくってきた。
これからも、さまざまな偶然が、ぼくをつくるだろう。
若いときには、齢をとるということは
才能を減少させることだと思い込んでいた。
記憶力が減少して、みじめな思いをすると思っていた。
見かけが悪くなり、もてなくなると思ってい
[次のページ]
戻る   Point(12)