詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
入珈琲に献ぐ」という詩があったので、ふと大谷良太くんのコーヒーのことを思い出した。ヘリコプターが上空で旋回している。

 恋人たちの姿を見て、「あれは泣いているのか/笑っているのか」と詩に書いたのは、たしかリルケだったか。いや、あれは、泣きながら笑っているのだと、笑いながら泣いているのだと、ぼくの胸のなかで、ぼくの過去の恋を思い出しながら思った。

 付箋しようかどうか迷った詩句があったのだが、やはり付箋しておこうと思って、『金子光晴詩集』を読んだところを読み直しているのだが、場所が見つからない。女性の肛門のにおいを嗅ぐ詩句なのだが。(「肛門」は金子光晴のほかの詩句でも出てくる。「肛門」は
[次のページ]
戻る   Point(14)