詩の日めくり 二〇一七年三月一日─三十一日/田中宏輔
うなものでシケモクというものを刺して集めていたおじさんもいたような気がするのだが、西院駅の券売機のところで、身なりのふつうのおじさんが、ちょっと長髪だったけれど、さっと身をこごめてシケモクを拾ってズボンのポケットに入れる様子を、ぼくの目は捉えたのであった。シケモクというのは、吸いさしのタバコのことで、いまはあまり道端に落ちていないけれど、むかしはたくさん落ちていた。そんな話をしていると、えいちゃんが、しょうもない話やなと言うのだった。ぼくの書く詩は、そんなしょうもない、くだらない話でいっぱいにしたい。そして、ぼくのしょうもない、くだらない話以上にしょうもない、くだらないぼくは、翻訳もせずに、これか
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