カオス・アンド・ディスオーダー/ホロウ・シカエルボク
 

光線の行方の向こうに、ねじくれた俺の鼓動が放置されていた、俺は震える手でそれを拾い上げ、正しいリズムを言い聞かせたが、そいつはいうことをきかなかった、「それは医学的見解に過ぎない」とそいつは言うのだ、標準的真実と自身の真実の違い、同じ真実でありながら決して相入ることのない二つの座標、俺は口にしたい言葉のなにもかもを飲み込んだ、こうなってしまうと俺自身にももうどうしようもない、なぜなら俺にはどちらの正しさも理解出来てしまうからだ、あちらの真実が正しいと思うならあちらに沿えばいい、こちらが正しいと思うならこちらに沿えばいい、真実なんて所詮それだけのものに過ぎない、もしもそこに優劣が生じるとすれば、
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