おまえがアーメンとは言えないものを/ただのみきや
記憶の黒点だった
太陽の鏡の目蓋の中で
ある者は熱に歪み
ある者は乾いて燃え上り
誰もが己の影に憩いを求めては
その微かな流れの干上がる時を待っていた
わたしは 光を青く投げ返す黒蝶が
川面を舞うのを見た
ゆっくりと 何度も行き巡り
やがて水辺へおり羽根を立てたまま渇きをいやし
再び ゆらめく大気の中へ消えて行くのを
おそらくはそのようにわたしたちも
ひとつの滅び行く夢から
そっと旅立つのだ
図書館では鰐が放し飼いにされていた
少女たちの間では自分の靴下を脱いで
鰐のペニスに被せる遊びが流行っていた
鰐はとてもおとなしく事故はめったに起こらなかった
鰐の
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