とはいえ瞬く間に喉は渇きを覚えるだろう/ホロウ・シカエルボク
午後の朦朧はおそらくは暑さのせいだけではなく、俺はその理由を知りながらまるで見当もつかないといったていを装っていた、それは意地とも言えたし逃避とも言えた、目を逸らしたいようなおぞましい出来事ほど避けて通ることは出来ないとしたものだ、通りは閑散としていて、とても休日とは思えなかった、誰もが家でオリンピックに齧りついてるなんて到底考えられなかったし、それは途方もない時間の無駄遣いに思えた、まあ、世間様は俺よりもきっとそういう浪費は得意なんだろうけど、それでもだ、炭酸水を飲みながらいつものように人気のない路地を歩く、年老いた旦那が妻を絞め殺した家の脇を通る、少し前には庭で雑草が暴れていたが、そんな事
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