go back on/ホロウ・シカエルボク
かすような不思議な力がある、駅によって辿り着ける場所、目的がそんなものなら人生はイージーだ、もちろんそんなものだって、嫌いではないけどね、列車が走り去ってしまうと、「ああ、行ってしまった」という空気が辺りに漂う、けれど見送る連中は誰一人そのことに気付いては居ない、臆病さと堅実さは同列には並ばない、もしかしたらその二つの列はとても近くで連なっているのかもしれないけれど、まるで真っ白い霧に向かって何発も銃をぶっ放しているみたいだ、悲鳴も鳴声も、理由もよくわからないままに、痙攣する右目の瞼を気にし過ぎているうちに数分が過ぎていた、世界は一秒ごとにかたちを変え続けている、俺は幸せな人間じゃない、それを享受
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