go back on/ホロウ・シカエルボク
にあまり価値を求めたりしないのだろう、腫れの記憶を持つ肌が余計な不安を植え付けている、出来ることならこのまま枯れてはもらえないものか、空気は煤けている、角を曲がればセメントのドームに大口を開けただけの焼却炉が現れる、こんな空の下の路地ではそんな幻想に取り憑かれる、もしもなにもかも燃やして終わりに出来るならその方がずっといい、けれど簡潔な処理は人生を単純にする、それ人混みの中でぐるりと見渡してみればすぐにわかることだ、道の向かいのゲーム・センターから怒声が聞こえる、躾のなってない犬が数匹吠えているだけだった、あいつらはいつだって喧嘩をするふりだけが上出来だ、また雨が降り始める、傘すら持っていない連中
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