ごく限られた世界の夜から昼への移動距離を並べて/ホロウ・シカエルボク
み干した、喉の中を熱い感覚が通過する、炎を飲み込んだみたいだと思いながら深呼吸をすると蒸気がこめかみから出て行くような感じがした、それから歯を磨いてベッドに潜り込み三時間眠った、なにか奇妙な夢を見ていたはずだったが内容はまるで思い出せなかった、昼前だったので簡単なものを作って食べた、人間はシンプルな生きものだ、シンプルに生きることは難しくない、でもそれはまるで重要な事項だと思えない、あらゆる現象が送り込まれる世界でシンプルさだけを追求するのはある意味で逃避に過ぎない、俺はもう一度外に出ることに決めた、特別目的も理由もなかったけれど、移動することには必ず意味が生じるー少なくとも俺のような人間にはね。
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