長い1行の集まり/空丸
街
遮断機が下がり血のような警鐘に淡い想いは砕け散る。通過する車窓とつながる間もなく街はもとに戻る。
冬の浜辺に置き去りにされた一つの椅子
冬の浜辺に置き去りにされた一つの椅子のように、幕が開くのをいつまでも待っている役者たちで観客席は満員だ。何も始まらない。心に弦を張り奏者を待つ。誰も現れない。地球儀に“故障中”と落書きしたあの日を思い出す。五時の鐘が鳴り、風は狼狽えた。幕が開くのをいつまでも待っている役者たちで観客席は満員だ。
物語は始まらない
ふらふら飛んできた紙飛行機がシャボン玉と衝突し 散髪屋の青白赤のくるくるが螺旋を昇り続け
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)