詩の日めくり 二〇一六年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
 
散った花は、花びらは少し透明になっていて 
少し汚れて朽ちていて芝生の緑の上にくっついていた。 
たくさんの桜の花びらが散っていた。 
枝を見たら、一枚ものこっていなかった。 
日が照っていて、緑の芝生が眩しかった。 
でも、桜の花びらは、なんだか、濡れていたみたいに 
半透明になっていて、少し汚れていた。 
校舎の前のなだらかな坂道が、緑の芝生になっていて 
ところどころに植えられた桜の木が 
通り道のアスファルト舗装された地面や緑の芝生の上に 
濃い影を投げかけていた。 
ぼくは、立ち止まってメモを書いている。 
桜の花びらが、みんな散っているな、と考えながら 
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)