詩の日めくり 二〇一六年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
ことができたのでした。しかし、世のなかには、変わった嗜好をしているひとたちがいて、ブサイクなぼくにも、ブサイクな彼にも、ブサイク専の彼女ができたのでした。ぼくの彼女も、彼の彼女もそこそこの美人でした。「あなたたちは、わたしたちのペットなのよ。」と、彼女たちに言われたことがありますが、まさしくペットの飼い主のように、ぼくたちにやさしく接してくれていました。大学を出て就職して、それぞれの彼女たちと結婚したのですが、ぼくの子どもも、彼の子どももとてもブサイクで、彼女たちの容姿を遺伝することはなかったようでした。でも、ぼくの子どもと、彼の子どもがとても仲がよくて、将来、結婚させようか、などと話したことがあ
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