詩の日めくり 二〇一六年一月一日─三十一日/田中宏輔
西洋人のおじさんが、たそがれときの窓辺に立っている。目をつむって。ぼくは、ぼくが使った言葉たちのほうを向いているのだが、表情のわからない、ぼくが使わなかった言葉たちのほうにも目を向けたいと思って、目を向けても、窓辺に立っているその西洋人のおじさんの映像はそれ以上変化しない。もちろん、ぼくのせいだ。ぼくの使わなかった言葉が目をつむり、腕をくんで、窓辺で黄昏ている。その映像が強烈で、ぼくがどんな言葉を使わなかったのか、まったく思い出すことができない。その西洋人のおじさんは、ハーフに間違われることがある、ぼくそっくりの顔をしているのだけれど。
二〇一六年一月二十四日 「流転が流転する?」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)