未詩集1/道草次郎
 
息の気配さえ見せない。全てはあの時のまま、固定点は暗い森の何処かにその位置を占め続けているのである。


「おくります」

しずかな雨を
おくります
おかねのかわりで
なんですが

そらとぶ夢を
いのります
あえない身のうえ
だからこそ

ちいさなお花の
くびかざり
いつか野はらで
あみましょう


「お月見」

ひとりはふたり
なぜって
ひとりの自分がいるんだし

ふたりはひとり
なぜって
ふたりのひとりはよりひとり

どちらも
あんまりさびしくて
人恋しさに
月を見る


「予感」

雨がふりそうだ
風がつよい

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