RESURRECTION/ホロウ・シカエルボク
 
と耳を傾けているだろうーどうやら俺にはそうした癖があるらしい、この前アナフィラキシーで死にかけた時にそんな風に過ごしている自分に初めて気が付いた、思考することがままならないから周囲を知ることに集中するのかもしれないー思考する必要がない時、もそうだ、仕事をしているときとか、会いたくもない人間の話を聞いているとき…俺の記憶の中にはそんな瞬間に覚えた下らない場面が山ほど詰まっている。

路面電車が前時代的な音を立てて通り過ぎるのを待ってメインストリートを渡る、こんな時間に車が渋滞している、毎朝、毎夕、渋滞を幾度繰り返しても、人々は車を便利な乗物だと唾を飛ばしながら喋る、御覧、お前の神話はすでに崩壊し
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