詩の日めくり 二〇一五年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
・リアリズムのパロディのような感じだ。残念なことだが、たくさん本を読んでいると、驚きが少なくなっていくものだ。

 場所を替えて読書しよう。マクドナルドでホットコーヒーでも飲みながら、短篇集『プリティ・モンスターズ』のつづきを読もう。

 頭のなかでは、リンゴから木が落ちてもよいのである。そして、理論的には、この表現が誤りではないことが、よく考えてみればわかるのである。

 玄関におじいちゃんが落ちていた。身体を丸めて震えていた。ぼくは、おじいちゃんを拾うと、玄関のうえを見上げた。たくさんのおじいちゃんたちが巣のそとに顔を突き出して、ぼくの顔を見下ろしていた。おじいちゃんたちは、よく玄
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