詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 


 カヴァーをはずして、ペソアの『不安の書』を、床に就きながら読んでいるのだが、メモをとるのに、表紙のうえでメモを寝ながらとっていたために、ペンをすべらせてしまい、表紙のうえに、インクのあとを5,6センチ走らせてしまった。さいわい、表紙が黒だったので、それほど目立たないが。死にたい。ヴォネガットの本に次いで、二度目だ。ぼくくらい本の状態に神経質なひとは、めったにいないだろうに。うかつだった。死にたい。ひたすら、死んでしまいたい。5000円以上した本なのに。まあ、値段の安いものなら、だいじょうぶってわけじゃないのだけれど。

 そうか、睡眠薬の効きが関係しているのだろう。電気けして横になる。
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