詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
できるかもしれないと思ったのだが、最終の竹田ではなく、そのまえのくいな橋で降りた。降り方は、べつにふつうだった。駅名がアナウンスされると、目覚めたかのように顔を上げ、目を見開いて窓のそとに目をやり、電車がとまるまで目を見開いたまま、電車がとまるとゾンビが動き出すような感じで腰を上げてドアに向かって歩き出したのである。竹田駅で降りてほしかったな。

『詩人連続殺人』にするか、『詩人賞殺人事件』にするか迷ってるんだけど、まあ、あと、ふたつの詩人の殺し方は、塾への行きしなと、塾からの帰りしなに考えてた。撲殺と溺死がいいと思う。ひとを殴ったこともないので、どう表現すればいいのかわからないけれど、とりあ
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