詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
ポルトガルの海』に戻ろう。海に戻ろうって、まるでウミガメみたいだな。ウミガメは、しばらくのあいだ、ぼくのこころをそそるモチーフの1つだった。ウミガメ、カエル、コーヒー、ハンカチーフ、バス、花、猿、海。ここに、こんど、思潮社オンデマンドから出る3冊の詩集で、サンドイッチが加わる。
あ、電話を忘れてた。電話を忘れるっていいな。しなきゃいけない電話を忘れるのは、シビアな場面もあるけど、しなきゃいけないような電話じゃない電話を忘れるのは、いいかも。しなくていい電話を忘れる。ここ5、6年。恋人がいなくて、そんな電話のこと、忘れてた。恋人には、電話しなきゃいけないのかな。でも、ぼくは自分から電話をかけ
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