詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
る。いっしょに食事をした記憶くらいしかない。きょう、居酒屋さんで飲んでて、ひとりのお客さんが、「人生は成功しなくちゃ意味がない。」とおっしゃられて、ぼくは、すかさず、「成功するとかしないとかじゃなくて、そのひとが幸せに感じて生きているかどうかではないのですか」と言った。ぼくより年上の方に言って、少し申し訳なく思ったけれど。
朝、目が覚める。ノブユキは、朝、目が覚めなかったらって考えたら怖いって言ってた。ぼくが28才で、ノブユキは20才だった。ぼくは何度も自殺未遂してたくらいに、中学生のときから自殺して死にたいって思ってたひとだから、朝、目が覚めないことほど幸せなことはないと思ってた。それも
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