詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
の食事も(と、パン屋の女性経営者は思っていたが)古くなって半額になった固いフランスパンだった。貧しさを楽しんでる部分も会って、自分がわからない。10年、20年、同じ服を着て、無精ひげで、さえない顔をして、古本をリュックにいっぱい入れて、公園で本を読んでたり、マクドナルドやミスドでコーヒー飲みながら本を読んでたり、まあ、よく言えば、知的なコジキ、悪く言えば、少し清潔なコジキといったところか。25才で、家を出て、10年ほど、親に会っていなかったのだけれど、久しぶりに再会したとき、継母が、ぼくの姿がコジキみたいになっていると言って泣いた。河原町のど真ん中で泣かれて困ったけれど、そういう継母とぼくの姿を、
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