ロザリーはスクラップ工場の外れで/ホロウ・シカエルボク
空缶、空瓶
空虚…
鼓膜が溶けてしまって
なにもかも
振動みたいな感じでしか聞こえない
いつまでも
いつまで経っても
斜めに見上げるだけの景色
赤茶けたトタンと
同じ色の鉄骨と
青い空、暗い空、灰色の空
眼球が零れ落ちかけているのに
そんなことが分かるのは
まだきっと記憶が確かなせいね
わたしはある意味で
永遠であると言える
その中で
なにをすることも出来ないけれど
五感の記憶で
退屈を並べている
ロザリーは二週間前
人でごった返す繁華街に居た
あれだけの人が居たのに
あれだけの人とすれ違ったのに
彼女のことを覚えている人はど
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