忘れじの/a i
れであったか。忘れじの、忘れられない人の世の。
また別の形で出会えたら。それだけを祈っている。
「人間の世で悼みを知り、嘆いた」
それは、なにより人間である証だった。止まない痛み。消えない残像。どこかで君の命−言葉−が蠢いている。新たな生命を宿すかのようだった。君は風邪を引いて、僕は発狂した。それが、別れと、新たな生命との代償だった。出会って受け取れば、それだけ別れれば引き千切られるよう。運命は僕らを斬り裂くようだけれど、幽霊なら痛くもかゆくもない。もちろん、僕らはただの人間だけれど。疲れたような目と心で見つめている。もう眠いみたいだ。おやすみね。
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