詩の日めくり 二〇一五年十月一日─三十一日/田中宏輔
「人生を楽しむ才能」
予備校に勤めていたころ、とても頭のいい女の子が自殺したのだけれど、「食べる時間がもったいない。錠剤だけで生きれるのなら、その方がいい。」と言っていた。郵便局の帰りに、イーオンに寄って、フランスパン買って、セブイレに寄って、チーズとレタスとお茶を買ってきた。食べることは楽しいのに。
生きることが苦痛だと食べることも楽しめないのだね。生きることが苦痛なのは、あたりまえのことなのだけれど、その苦痛である人生のなかに、楽しいことやうれしいことを見つけて大事にするのが英知だと思うし、才能だと思う。ぼくは人生を楽しむ才能だけは授かった。
二〇一五年十月二十五
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