詩の日めくり 二〇一五年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
なかったので、半分には切ってくれたけれど、それを七つに切ってと言うと、焼き上がり立てで切れませんと言われて、半分に切ってくれたものを持ち帰り、スライスチーズをのっけて食べた。合間合間にカットレタスをつまみながら。えいちゃんに、その話をしたら、焼き上がりたてはやわらかいので切れへんのやで、と言われた。時間がたって冷めたら固くなるやろ、固くなかったら、きれいに切れへんのや。それでも、「どうして?」と訊くと、「やわらかくて、切ったら、もろもろになるやろ。」
「そんなことになるんや、知らんかった。びっくりやな。」と言うと、「その齢になっても、びっくりすることがいっぱいあるんやな。」「そうなんや。毎日、毎
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