三面鏡に挟む春/ただのみきや
れた意味 普遍的価値
それらは覗き込む魂の影法師
己が思念の残響
わたしの書く詩と同じように
わたしの人生は支離滅裂
道端の花を摘む快楽
言葉はわたしのマゾヒズム
そう過ぎ去ったこと全て
夢の素材なのだ
夢は自己の創作物
自我は時に反目しつつ
見続けるしかない が
その感情は作品を多少なりとも
辻褄の合うものへ
捉え直そうとする
鳥籠で夜は飼えず
水槽で夢魔は育たない
裾野を広げても
標高は変わらない
鏡の中に音はない
鏡のわたしは耳を澄ますが
聞えているふりのパントマイム
喧噪は想像できても
彼が静けさを想像することはない
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