つぶやかない/たもつ
 



眠れない夜
眠ってばかりの夜
窓を開けて夜の黒をすくう
けれど掌にあるのは
無数の星屑ばかり
母は準備を怠らない人だった
準備をし続け一生を終えた
(午前9:14 ? 2021年2月7日?)


自転車置き場で春を待ってる
何もない、が時々
風のように吹いて
いずれ何もなくなる
見えないはずの自分の後ろ姿が
父に似てきたと思う
(午前8:42 ? 2021年2月11日?)


飛行場に触れるあなたの手が
昨日より少し柔らかい
優しい形の飛行場は雨に濡れて
いくら言葉を費やしても
飛べない空がある
誰かが窓を開ける
誰かが他の窓を閉める

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