柊/妻咲邦香
 
誰かが作った雪だるま
笑いながら数えてたら
いつの間にか黙りこくった
ねえ柊
バス停まで歩こうよ
君に意地悪出来るのもたぶん今日が最後

何も約束しないまま
どちらからともなく小指を繋いだ
買ったばかりの手袋
もう毛糸がほつれてる
ねえ柊
これは恋だったのかなあ?
それとも
聞く勇気もないくせに

日焼けを気にしてうつ向きがちに歩く
持ってあげたギターケースの重さに悲しくなる
ねえ柊
夢はまだ話し足りないよ
また明日も電話してしまいそうだよ

滑って転びそうな坂道
変な歩き方だね
カラスが首を傾げて見てるよ
ねえ柊
初めて会った日のこともう忘れてるよね?
僕も忘れたふりしていいかな?

ねえ柊
最終のバスまであと何分?
それとさっき言いかけてたこと何?
よく聞こえなかった
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