あなたはただ佇んでいる、それがわたしには心地好い/ホロウ・シカエルボク
いる、庭の倒れた物干し台にはすっかりボロボロになった洗濯物まである、街からほど遠くない住宅地にこんなものがある、しかもそれはこの家を始まりとする一区画すべてなのだ、きっちり長方形に区切られた住宅地の、一つの長方形の中がすべてこの有様なのだ、この目で見なければちょっと信じることは出来ないだろう、どういった人間が住んでいたのか、いつごろまで住んでいたのか、どういう理由で居なくなったのか、このあたりの年寄りをつかまえて尋ねてみても誰も知らないと言うし、なんでそんなこと聞きたいんだねとこちらを訝しがるやつまで現れる始末だ、だからそのことについて調べるのはやめた、時々この辺をぶらぶらと歩いては、ぼんやりと物
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