眼のない光/ただのみきや
姿態
型もなく規範もなく
個々の無垢なたましいが
妄想し摸索した
祝祭と救済
それに触れようと
そこに至ろうと
創作と表現により生み出された
あらゆる有形無形の
あるいは時空間による
原始的で創造的自慰
必要よりも大切にされた
無益でシンボリックなものたちから
染み出した美しい毒の
流れの果て 泡沫の
油膜に映るひとつの顔――
わたしは酒で血を薄め涙の石で魚を殺した
鯨はいつも垂直にわたしの中へ消えてゆく
書き記された物語は
一冊の本を所有することはできる
一つの物語をこころに収めることもできる
だが物語は誰のもの
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