運命の分岐/mizunomadoka
 
しも小学生のとき以来だから
そう笑ってあなたはクルリと回った
立つのが精一杯な私の両手を引いて
外周をゆっくりと滑っていく
いちにーいちにー、そうそう上手!
リンクの中央でフィギュアの子たちが
妖精のように舞う
私たちみんなでメリーゴーランドみたいだね

車輪で雪を巻き込みながら
列車は発射台のある湖へと向かう
食堂車では新年を祝う人々が
カウントダウンを始めている
バーカウンターの酒瓶と
チョコレート箱をバッグに入れて
貨物室に戻る
トイレ脇のバルブで熱湯を椀に注ぎ
固いパンを浸しながら食べている
六等車の乗客たちにそれを渡す
ガタンゴトンガタンゴトン、
窓に反射する老いた私
もうひとつの未来の記憶

銀河の浅瀬に浮かぶ星々
太陽に照らされていた青い水球
記憶を束ねたモノリス
暗闇の海
光よりも孤独






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