あらかじめ瓦礫の中の/ホロウ・シカエルボク
う軽く流すには無理がある程度の人生の中に
こんな夜ではなかった
そんな場面がどれだけあっただろう
致命的なバグを抱えたゲームソフトみたいに
いつも一番最初のシナリオの前で立ち尽くしているみたいな
裏路地の自転車
そいつは俺だった
食い散らかされた鳩も
不遜な色合いのドレスも
身をこごめた名も無い浮浪者も
たったひとりの時
どんな歌をうたう
たったひとりの時
どんな風に叫ぶ
そんな問いのために路上を彷徨い続けている
たとえば
この世の終わりなんてものを想像してみろ
その風景の中には
お前自身すら存在していない
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