Henaさんのチョコレート/草野大悟2
だ。
今、テイクアウトやネット販売、県全体の居酒屋と連携した割安チケットの販売などで急場を凌いではいるが、先の見通しが全く立たないとのことである。
ところで、46億年前に誕生したこの星には、カンブリア紀の生命大爆発により海中に多くの生物が生存するようになった。海から陸へと生物が上がってきたのはシルル紀、デボン紀で、植物や節足動物、両生類などが生まれた。その後、3度のスノーボール現象、海洋無酸素事変、ジュラ紀の隕石衝突などに見舞われて、地球生物は6億年に5回絶滅している。ジンルイが登場するのはわずか20万年前だ。その新参者が、あたかも地球を支配しているかのように勘違いして勝手放題していることに、宇宙(あるいは自然界)が激怒して、新型コロナウイルスを地球に送り込んだような気がしてならない。
Henaさんが溶けて形を無くした跡のテーブルには、ゆるゆるの『ヘナチョコ』がひとつ、申し訳なさそうな顔をして佇んでいた。
「この『ヘナチョコ』ぐらいがちょうどいいんだよ、ジンルイなどという生物は」
どこからか、Henaさんの声が聞こたような気がした。
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