視破線/ただのみきや
 
情緒不全がカタツムリの殻で
沸騰しいくつかの共感覚が首を斬られた鶏のように
一つ二つの片言を叫んで大通りを駆け抜けたが
孤独の誤読に耐え切れず妄想的神経網は壊死する


一斉射撃で迎え撃つ
わたしたちは縫い付けられた瞼を欲望で引き裂き
羊たちが詠歎の長い腸を引きずって海へ帰る午後に
太陽の堕胎した消炭を腹に受けて開花する少女の肉が
壊れたテレビから食い尽くす蝗の群れを呼び出した
あの砂嵐のような時の稜線を
わたしたちは一斉射撃で迎え撃った
花壇でハサミは錯乱し影や光線を切り抜いて
蜜蜂は脳に出入して濃い蜜の中には映画館があった
スリッパは夜更けにアルビノの魚になって床
[次のページ]
戻る   Point(4)